うまくいっていないことに対する不安や、失敗に関する反省や怒りなど、同じ話を延々とする人がいます。
聴く方は、内心、「要するにこう思っているのですよね」などと思って、ため息をついたりイライラしたり。
相手が目上の人やお客様であれば、「それはもう聴きました」とも言えません。
話し手が同じテーマから離れられないのは、何か意味や目的があると思われます。
いくら話しても、話つくせていないという不満が残っている場合が多いのです。
このため、何を本当に伝えたいのだろうかと考えながら傾聴してみる必要があります。
そう思うだけで、こちらも共感しやすくなります。
また、相手の話の内容に合わせて、相づちをうったり質問をしたりするだけでは、長時間聴いた後でも、最初に聴いた悩みと殆ど変わらない・・・ということが少なくありません。
こういう場合、視点を変えて、「相手が話していないこと」についても質問できると、悩みをより理解できることがあります。
視点を変えるというと、下の「4つの目」を持つことが役立つとよく言われますね。
それぞれの「目」を「質問」に置き換えてみるとどうなるのでしょうか?
● 鳥の目:マクロに全体を見わたしたり、抽象化する能力。
⇒ 質問でいうと、相手の長い話を要約して、その確認のための質問をすることにあたるでしょうか。
● 虫の目:対象と直接関わる情報を五感をフル活用して見つけ出す能力。
⇒ これは、出来事や感情を丁寧に聴くための質問をすることに相当しそうです。
● 魚の目:水の中を泳ぐ魚のように流れを読む能力。
⇒ たとえば、目に見えにくい時間の流れに関する質問をする場合、これも、出来事や感情の流れを丁寧に聴くための質問の範疇かもしれません。
● コウモリの目:逆さまに見るなど、固定的な見方に捉われずに見ることができる能力。
⇒ いわゆる、局面を変えるような質問をするために、このコウモリの目が使えそうです。
例えば、部下の能力が低いと、延々と不満を話す新任の管理者。
相手の話の内容に沿って、その不満をよくよく聴くことは必要です。
でも更に、その人が語らないことについても質問する必要があることが少なくありません。
例えば、「自分がこれまですばらしいと思った上司はどういう人ですか?」といった質問ができると、話し手の自己探索の支援にもなりそうです。
また、聴いているこちらも相手についての理解を深めることができます。
「4つの目」というツールと傾聴の質問との関係をちょっと考えてみましたが、意外に関連付けられそうで、面白いと思いました。