クライエント: 「私は、〇〇加工の腕は社内でも一番で、社員の研修リーダーもしています・・・ あのう、転職できるでしょうか?
CDAの心中: 『え? 社内で一番なら、なぜ転職? 話が見えない・・・』
聞き手は、話を聞いているうちに、情報を頭の中で並べ替えたり、
足らないと思う情報を得るために相手に質問したり、ロジカルな態度をとる傾向があります。
このように、相手の言うことを論理的によく理解したいと思うのは、自然なことだと思います。
でも、冒頭の例のように、カウンセリングに来られる人が論理的に話さないことは少なくありません。
クライエントの頭の中では、話の筋が通っていても、気持ちが高ぶっていたり、感情に流されていたりするため、聞く方からすると、話につじつまが合わない、話が飛んでいると思えるのです。
筋が通っていないと思う点について、
「〇〇と言われたことと、□□と言われたことの間に矛盾がありますね」とか
「△△の話と××の話の間には飛躍がありますね」などと、
ポンポン指摘して、もっとロジカルな説明をするように求めたりすると、
話し手の方は、話しにくくなってしまう場合があります。
正しい論理とデータに基づいて問題を分析すれば、解決できるというのは、問題解決指向のアプローチです。
客観的な事実を重んじ、まわりの人達を納得させながら仕事を進めるビジネスの場では、このアプローチが王道ですが、カウンセリングに来られる方は、それでは解決しないので来談されるのだと思います。
最初はつじつまがついていないと思っても、あえて、クライエントがどんどん話をしているのをさえぎらず、そのまま聞くことも必要だと思います。
ずっと聴いていると、その人の人となりや自己概念が見えてきて、次第に話の内容を理解しやすくなってきます。
また、重要なことが話の行間に隠れている場合もあります。
ロジカルシンキングを信奉して、話の筋を通すことにこだわっていると、却って、それが見えなくなってしまうこともあります。
カウンセリングの場合、肝心の情報が出てこないなら、出てくるまで待とうという姿勢も必要なのではと思います。